「10月10日って何の日だっけー?ちゃん」
「別に何もないけど」
「即答かよ!もっとよく考えなさい」
「明日でしょ?何もないって」
「あのなー、大切な日があるだろ?」

先ほどから、10月10日は何の日だと何度も聞いてくる。それから逃げるように、私の視線はテレビに向けている。隣に座っている銀さんは、少し拗ねている。本当は何の日かなんて、嫌でも覚えてるけど言ってあげない。新八君から、誕生日パーティをするので是非参加してほしいと言われた。新八君達が内緒で準備を進めているなら、言わない方がいいだろう。

「…あ、やべ」
「あ?やっと思い出したか」

せっかくだから、パーティには参加させてもらうことにした。誕生日パーティと言うぐらいだから、プレゼントが必要だろう。しかし、大変なことに私はプレゼントを用意することを完全に忘れていた。さすがに手ぶらは恥ずかしい。というか、銀さんに何と言われることか。隣に座っている銀さんを見ると、思い出したことを期待しているらしく、いつになく目がキラキラしている。どうしよう、プレゼントなかったらガッカリするかな。

「用事を思い出したから、行くわ」
「ちょっと待て、逃げる気ですかこのやろー」
「そうじゃないって、ちょっと買い物行くだけだから!離せ変態!」
「誰が変態だ!決めた、どこ行くか白状するまで離さねーぞ」

ソファーから立ち上がった私を逃がすまいと、銀さんは腕を掴む。あまり力は入っていないんだろうけど、やはり男の人には敵わない。それでも銀さんの腕から逃れようと、自分の腕を引っ張る。必死に抵抗しても、銀さんはびくともしない。疲れたので少し休もうと、力を抜いた瞬間。銀さんに腕を引っ張られる。力を抜いている私は、あっという間に銀さんの腕の中に捕まった。

「捕まえたー。もう諦めろって」
「だから、逃げるんじゃないってばぁ」
「じゃあどこ行くんだよ?」
「えーっと、し、真選組です」
「何、悪いことでもしたの?」
「あ、そういえば桂さんに用事が!」
「尚更逃がさねぇよ」

ジタバタと暴れても、しっかりと捕まえられていて、銀さんの腕の中からは逃げられそうにない。すっぽりと包まれているから、とても暖かい。何を買おうかな、それよりもどうやって逃げるかを考えなければ。思いっきり背中つねってみるか?

「なぁ、正直に言えって」

焦りながらどうやってこの場から逃げるか考えていると、耳元で囁かれる。息と同時に、銀さんの低い声が響いてくる。どうしよう、動けなくなった。段々、顔が熱くなってくる。降参しよう。見上げてみると、銀さんは私を捕まえていた手の力を少し緩め、私の顔を見えるようにした。

「…プレゼントを買うの忘れてたの」
「プレゼントって、俺の?」
「うん、誕生日プレゼント…」

銀さんは瞳を細め、優しく笑った。あぁ、最初から素直にしておけばよかった。何を買ってあげようか、甘いケーキを作ってあげるのも良いかもしれない。プレゼントのことを考えたその時。銀さんは先ほどの笑顔とは変わり、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。

「なーんだ、そのことなら心配いらねぇよ」
「え?プレゼントいらないの?」
「買わなわくていいってこと」

そう言った銀さんは、左手を私の背中にまわし、右手をソファーに伸ばした。抱っこされているような私は、ソファーに寝かされるように倒された。つまり、目の前には銀さんがいて、見下ろされているわけだ。

「あのー、何でしょうか?」
「ほら、あれだよ。誕生日プレゼントは、私をどうぞ!ってやつだよ」
「何だよそれ!ていうか誕生日は明日じゃん」
「安心しろ、明日ももらってやるよ」
「安心したくないから!もらうんじゃねぇよ!」

慌てている私とは反対に、この状況を楽しむように銀さんは笑みを浮かべていた。私の頬に手をのばし、ゆっくり顔を近づけてきた。距離が近づけば近づくほど、私の心臓の鼓動は速まった。あぁ、もうだめ!諦めるように目を瞑った。が、何も起こらなかった。恐る恐る目を開けると、銀さんは驚いた顔をして違うところを見ていた。その視線を追うと、買い物袋を持った新八君と神楽ちゃんが、立っていた。口をあんぐりと開け、銀さんと同じように驚いた顔をして。

「何してんだァァ!この変態野郎!!」
に手だしたアルカァァ!!!」

勢いよく走ってきた新八君と神楽ちゃんによって、私の上にいた銀さんは吹っ飛んで壁に激突した。


きにどうぞ

簡単にはあげない

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