「おいこら。悪戯しやすぜ」
「いや、何ですかいきなり」

一目みるなり、そう言ってきた総悟。いつも人に悪戯するくせに、今日だけは許可をとるってどういうことだ。 眉間に皺をよせて、説明を求める。総悟も顔を見ただけで、分かったらしく説明を始めた。といっても一言で。

「今日はハロウィンじゃねぇかい」
「てめーはガキか!お菓子なんか持ってないんすけど」
「そうか、ならでいいですぜィ。さぁ、脱げ」
「拒否する。他の人にあたって」
「じゃあ悪戯。さぁ、脱げ」
「どっちにしろ脱がせるのかよ!」

さっきから脱げとしか言わない変態野郎にツッコミを入れても、彼は平然とした顔だった。 それが当たり前かのように平然と。どっちにしろ脱ぐだなんて、選択権なさすぎじゃないか。 さぁどうする、と総悟は私の返事を求めてきた

「どっちも嫌だ」
「そりゃあ無理でィ。逃がさねェ」
「あ、あんなところに神楽ちゃんが!」

総悟のライバルであろう神楽ちゃんの名前を使わせてもらう。 さすがライバルなだけあって、総悟はすぐさま反応し、私が指す方向に振り返った。 その一瞬の隙をついて逃げようと、私は猛然と走り始めた。はずだった。

「だから言っただろ。逃がさないって」
「手離せよ、このやろー」
「あんまり抵抗すると、後でどうなっても知らねぇゼ?」

あまりにも分かりやすい作戦だったか。総悟は私の腕をしっかりと捕まえていた。 そして、にっこりと笑顔が恐ろしい。逃げる自信を失った。 というか、何だかんだ逃げられないと思う。だって私は

「俺のこと好きなくせに」
「うるさいッ!斬るぞ!」
「斬られるより斬る方が好きなんでィ」
「そっちの趣味は知らねぇよ!」

じたばたと暴れても、総悟が腕を放さない。このまま襲われてしまうのは、どうも納得いかない。 こっちの弱みが握られているので、いつもこうだ。土方に言わせれば、イチャイチャしてうざったい、らしい。 ただし、私としては毎日のように逃げ回っているので大変なのに。 どんなに睨み付けても総悟には効果がない。寧ろ楽しそうに、笑っていた。総悟はニヤリと一言。

「今晩が楽しみだなァ」

やっぱり今日も逃げられそうにない。



げられない

逃げるつもりもないけれど

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